

セロシア(ケイトウ)
久下 建明
強烈な真っ赤な鶏のトサカの形をしたケイトウを、秋風が吹く町角の空き地で以前はよく見ることができた。子供心には少し気味悪さを感じさせる摩訶不思議な形のケイトウ。そのようなケイトウも近頃はふさふさした羽毛状や小さなロウソクの炎みたいな円錐形、花穂が細長く咲くなど品種などに変わってきて、昔の鶏頭がすごく懐かしく感じられる。
ケイトウの仲間は、ケイトウ、ハゲイトウ、ヒモゲイトウのヒユ科植物であり、ケイトウはセロシア属、ほかの2種はアマランサス属と異なる。原産地は、世界中の亜熱帯から熱帯にかけて分布し、日本へは万葉時代以前に渡来したらしい。現在のケイトウの園芸品種は、インド原産のノゲイトウを品種改良されたのが多い。ケイトウは葉丈、花穂の形など変化に富んでいて、花の色も赤、黄、オレンジ、紫、淡いピンクなど多彩である。ここ数年、注目されてきたセロシアと呼ばれる新しい品種であるが、本来のケイトウの原種の形に限りなく近いのに新鮮さを感じる。セロシア・ライオンハートは学名「炎の舞」という品種であるが、真っ赤な炎みたいな赤色が鮮やかでふんわりボリュームのある大きな花穂が魅力的で、寄せ植えとして、花壇苗として、単品でも楽しめる。

久下 建明
晩夏から秋にかけて帝王紫の鮮やかな花を咲かせる常緑性花木であるノボタンという流通しているのが、南米ブラジル原産のシコンノボタン(紫紺ノボタン)という品種である。葉や茎にベルベットのような風合いの産毛をたくわえた少しファーイーストな趣きのする一日花である。花のおしべの形状が昆虫のクモの足みたいに曲がっていることから、”ブラジリアン・スパイダー”という英名がついている。
シコンノボタンがノボタンの代表的な品種であるが、ノボタン科には240属4,000種ほどある半耐寒性常緑低木であり、原産地も中南米、熱帯アジア、ネパール、日本の南西諸島、小笠原諸島と広範囲に繁茂している。大型でピンクの穂状の花を付ける人気のあるフィリピン原産のメディニラもノボタン科である。そのほかの主だった品種に、コンパクトで赤紫の花を咲かせるコートダジュール、秋から冬にかけて咲く紫からピンクに色が変化するリトルエンジェル、小ぶりのヒメノボタン、可憐な紫桃色のブータンノボタン「ヒマラヤン・オパール」、ハシカンボクなどがある。